[ タイトル防衛戦 ]

 「おーい、翔ー!」

 「あっ、アニキー!早く早く、こっち!もう中盤ッスよ!」

 「なんだよ、この人だかり・・・女子ばっか・・・お、デュエルか!?
  三沢と・・・あれ、誰だ?」

 「えぇっ、アニキ知らないの?!
  オベリスクブルーの王子くん!」

 「おーじ? 知らねー」

 「DAの未来の皇帝(カイザー)って言われてる、凄腕デュエリストっす」

 「まじ!?
  ずっりーぞ三沢!俺もソイツとデュエルしてぇ!!」

 「ん、来ていたのか十代。
  悪いが、俺がコイツを倒すまで待っていてくれ。
  これは、男のプライドを賭けた聖戦なんだ!
  ・・・と、すまないな王子。俺のターン、ドロー!」

 「聖戦〜? なんだそりゃ」

 「実はさっき聴いた話なんすけど・・・」



 ≪以下、ブルー女子のJさんとMさんの実況でお楽しみください≫


 キャー!ちょっとあれ、王子よっ!!
 やっだ、いま一人じゃない!
 しかも放課後はなかなか見かけないのよねー!レアよレア!!
 らっきー!これはらっきーよ!アタックチャーンス!

 ええそうですわねっ!
 ちょうど時間ももてあましておりますし!ナイスタイミングですわ〜。

 ここは仕掛けるのみよね!
 ダイレクトアタック!!

 ですわ〜!

 「王子くーん!! ねー、今ヒマ?」

 「・・・俺?」

 いや〜!クールな物腰に甘いマスク〜!!
 ああっ、王子様〜。

 氷のような無表情な仮面がきょとんと溶けるだけで・・・
 わたくし、くらくらきますわ〜・・・。

 ≪※二人は美形に弱いので少々オーバーリアクションです≫

 「いや、俺は・・・」

 「よろしければ、アフタヌーンティーでもご一緒しませんこと?」

 「おいしいケーキもあるのよ! ね、いいでしょ?
  色々と聴きたいこともあるし!姉妹校の様子とか!」

 「俺、用事が・・・」

 「えええぇぇー!!
  そんっっなに急な用事なの!?」

 「い、いや・・・でも・・」

 さすがジュンコさん!!
 あと一押しですわっ!

 ふふん、まっかせといてぇっ!

 「でも約束・・・」

 「あーっ、王子くん!!」

 「えーっ!?」「うそっ!どこどこー!?」

 げっ!トラップ発動!?

 『光の護封剣』って感じですわ〜・・・。

 「あっ!ちょっとジュンコたち抜け駆けっ!!」

 「なによっ、邪魔しないでよ!」

 「はんっ!そーはさせないんだから!」

 「そーよそーよ!」

 「王子くーん、あたしデッキ組んでて疑問に思ったことがあってぇ。アドバイスしてくれないかなー」
 「ねー王子くんって休みとか何してるの?」
 「放課後いつもいないよねー、どこにいるの?よかったらさぁ私とデュエル―」

 ああっ、足止めされてる間に魔のバミューダトライアングルがっ!!
 ハーピィ三姉妹かあんたら!

 まずいですわっ、強引さも図々しさもジュンコさんの比じゃありません!

 「ちょっと、ももえっ!どーゆーイミ!?」

 「あら・・・ごめんあそばせ。おほほほ」 

 「きーっ!! こーのお嬢様ぶりっこがっ!
  まとめて相手してやるわよーっ!!」

 「あははは!
  せいぜい仲間割れしてなさい!」

 「あの二人忙しいみたいだし王子くん、いこー」

 「ええ、それがいいわよ」

 「いや、だから俺はっ・・・」


 「王子!!デュエルだ!」

 「・・・・・・・・・・・」

 「王子!!デュエルだ!」

 「・・・・え。 あ、うん。いいよ・・・・(・・気づかなかった・・・)」

 あら?彼はラーイエローの・・・

 やだっ、イエロー寮のホープの三沢君じゃない!!
 おいしいツーショット!

 でもぜんぜん気づきませんでしたわ・・・。
 いつの間にいらっしゃったのかしら。

 「・・・君、名前は? 俺は、王子

 「ラーイエローの三沢大地だ!
  王子!デュエル王子の座を賭けて、俺とデュエルだ!!」


 「・・・・・・・・え?」


 「デュエルッ!!」






 「―――ってことらしいっす」

 「へー・・・あの辺の女子から聞いた?」

 きゃあああぁー!!
 おうじくーん!
 しびれるー!!
 いやー!こっち向いてー!
 がんばってぇー!!

 「ハイっす・・・」


 結局、王子の『デュエル王子』防衛で戦いは幕を閉じたのだった。




 王子と呼ばれたかった三沢大地くん。


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